2012年11月15日木曜日

百日紅考察

いままでの試験布染で百日紅の染液は沈殿をおこしやすいこと、はがれおちた樹皮は色素が、やや少ないことなどがわかっている。

また、紅葉の始まる11月ごろの色素が多く、黒染向きといわれている。

 

今回は116日に葉と小枝、実の部分に分け煮出す水3Lに米酢15mlを加え30g100gの色の出方を見た。

 

米酢を加えたことによって、染液のPH66,5になり、沈殿はどの染液でもほとんどおきなかった。

 

染色は 煮染10分、媒染(0.2%木酢酸鉄)20分、再煮染10分に統一した

 

一番液を染めおわっても液の色がほとんど変わらなかったので、その残液で同様にもう一度染めたのが残液1、さらにその残液で染めたのが残液2である。

試験布染の結果では、小枝と実に関しては30gより100gの方が幾分濃くなるが、葉25gとは80gになると、葉80gの方が赤みは強い。葉の方が小枝、実よりも同僚における色素量は多いと思われるのでは80gは、かなりの量の色素を持つが、沈殿はしていないものの色素結合などによって鉄結合による発色が、幾分抑えられたように思われる。

 

色素量の多さでは葉>>枝の順になる。3Lで煮出すとなれば、葉は20g前後、実は60g、枝は120g前後で重ね染をすることで適量の染料で黒染ができるものと推測できる。

またお酢を加え、水に溶けやすい状態にしたせいかもしれないが、一度の染色で、色素の吸着は一部にとどまる。残液12でも濃色が得られていることから染液では重ね染が有効であると考える。

 

また二番液も葉では一番液と同様、小枝や実はやや薄色になるが、かなり色素が溶出いていることがわかる。残液2の赤みが強いのは、どういうことか、長時間の熱処理によって赤味をすこし出す分子構造に変化したものと考えられる。

 

木綿における残液は一番液よりも少し濃くなっているのも注目する点だが、誤差の範囲で同様な発色をしていると考えるべきかとも思っている。

 

現時点では

★百日紅は一番液、二番液を葉20g、実60g、枝120g/3Lの割合で沸騰後長めに煮だし、

それぞれの液で、染液→鉄媒染→染液を34回くり返し、中干し後数日後に、同様な染色をするのが良いように思える。

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